35年前・・・

オットさんの甥っ子が家業を継ぐため家族を連れて帰ってきた。

初のひ孫が近くに越してくるとあって義母はちょっとはりきっていたようで、

その昔甥っ子が義母宅で使っていた子ども用品を押し入れから引っ張り出し、

ひ孫に使えるかお義姉さんに確認をしたらしい。

中には甥っ子が義母宅に預けられた時に使っていたベビー布団もあったそうだが、

『綿布団は重いので使いません・・・』とお義姉さんを通じて甥っ子お嫁さんに断られたとか。

それが残念だったらしく、先日義父の命日参りに行った際

口をとがらせる勢いで愚痴っておられた。

思い当たる節がたくさんあるので、私は聞こえないふりをして話題はオットさんにお任せ。

２０余年の結婚生活で培った技であるよ。


・・・確かに、物を大切にするのはいい事だけど、

お金に困っているわけでもない若夫婦が第一子の布団を

35年前の綿布団にしたい理由はないなー。

実際私も新婚の頃はこの「使えるから持っていきなさい」攻撃に泣いたもの。

戦後の軍物資放出で配給されたパラシュート生地で作った布団とか、

半世紀近く前に縫った布おむつとか、とか。

ある意味プレミアものなんですけどね。。。。

と苦笑いする一方で、

昔の人は物を大事にするし、

特に戦後物のない時代を生きてきた義母世代の人にとっては、

布きれ一枚だって無駄じゃなかったのだから、

古びれているとはいえ、きちんと綿の打ってある布団はりっぱに使える物なんだよねぇ。


嫁ぎ先の家業の手伝いで忙しい娘（義姉）の為

小さな孫を預かって面倒を見ていた義母。

そんなかわいい孫が使っていた布団を35年も処分せずにとっていた気持ちもわかる。


もうじき90を迎える義母はこのところ身の回りの物を片付けだし、

遊びに行く度あれは要らないか、持って帰らないかとせっつく。

主がいなくなった後の家の片づけが大変にならないようにしているのだ。


布団の話は滑稽だけど、

そんな事を考えると切なくなってくる此の頃。

私も確実に年を頂いておるのだなあと実感いたしますよ。


とはいえ、

義母の家系は長寿で、義母の母も１００で往生するまで頭もしっかりされていたので、

もう少し大丈夫だとは思うのですが・・・。


義母がさみしくないよう、なにか考えないと。